美濃・紙の芸術村2013
- 2016年03月06日
- 歴史/History
美濃・紙の芸術村2013には、4名のアーティストが参加しました。
◇◆美濃での思い出◆◇ ~一部アーティストより~
Thu Kim Vu(Vietnam)
When I came to Mino, I knew that I have landed into a ” gold mine” . I have always been interested in the art of Washi and this residency has given me a great opportunity to really live the culture of the region and learning the art of Mino washi. I used to draw on Washi and thought of it as the material to put my images on, but after learning about Mino Washi, I see the process of making paper, creating different texture, different design is the Art itself.
On the other hand, what has influenced my works until much later was the lantern festival, the idea of using Washi to play with lighting. To create a Mino Washi sculpture using light bulb has become the focus in my work until these days. In this process, both my host family Watanabe san and Haba san have really taught me so much in the process. After coming back to Vietnam from Mino, I continue to use Mino Washi years after that in my works and I see the endless possibility in the process.
美濃へ来たとき、自分が宝の山へ辿りついた事に気が付きました。このレジデンスは、日頃から和紙芸術に興味を持っていた私に、その土地に身を置きながら和紙を学べる機会を与えてくれました。
いつも和紙の上に絵を描いていたので、紙は自分のイメージを乗せるための材料としてとらえていましたが、美濃で和紙を学ぶ過程の中で、紙漉きの工程や、和紙にも異なる質感やデザインがあること、そしてそれ自体がアートだという事を知りました。
一方で、レジデンスを終えてもなお影響を受けていたのが、和紙と灯りの祭典「美濃和紙あかりアート展」です。それからここ最近までの自身の作品制作において、電球を使った和紙彫刻に焦点を絞って制作するようになりました。このプロジェクトでは、ホストファミリーだった渡辺さんと、幅さんから本当に多くのことを教わりました。ベトナムへ戻った後も美濃和紙を使い続け、そこに無限の可能性を見出しています。
Yana Poppe(The Netherlands)
In Mino ‘my’ family welcomed me as if I was their own daughter. The neighbors and the local people were very kind and easy to talk with. Within this friendly environment I had room to experiment with traditional Mino washi paper. The beauty and strength of the paper reflects the dedication and warmth of the people. I went to Mino again to develop my skills in making Mino washi paper. I feel grateful for having experienced this wonderful residency. We went on many trips and I have fond memories of going to the Karaoke Bar with my host father Makoto-san.
美濃では、”私の”家族が私を娘として迎え入れてくれました。近所の方や地元の人はとても親しみやすかったです。このような友好的な環境の中で、私はこの伝統的な美濃和紙を使い作品制作を試みました。美しく強靭な紙は、美濃の人々の献身的な部分や温かさを映し出しています。レジデンスを終えた後も、紙漉きを学び直すために一度美濃へ戻りました。そこでたくさんの旅をしましたし、ホストファザーの眞さんとカラオケへ行ったのは良い思い出です。
出月秀明(日本)
和紙をテーマにして研究滞在が出来たことは、他では味わえない興味深い内容であった。歴史を持った素材を追求していくことは伝統の重みやその喪失過程を引き受けることでもあり、それゆえ「素材」へのアプローチは自然と細部にこだわった工芸、あるいは素材本来の印象を反発させるための量感の追求となる。形骸化しやすい工芸的なアプローチに、新たな視点を見いだすためにアーティストが招聘されていたと思うが、自分がその役割を果たせていたかはいまだ疑問の残るところである。ホームステイというのは数ある滞在研究制作プログラムのなかでかなり珍しい形であったが、行き届いたもてなしの元、充実したスケジュールが組まれ、教育機関での授業、各種イベントへの参加など振り返ればい い思い出である。こうしたそれぞれの試みに将来性を感じさせる内容が隠されていたように今になれば思えるが、それは美濃という歴史と文化遺産を持つ土地からにじみ出るものなのかもしれない。